家づくりにかかる費用は沢山ある?見積もりは細かくチェック
注文住宅を建てる際に、どのような費用が発生するのか把握できていないと精度の高い資金計画を立てることはできません。曖昧な資金計画だと大幅なズレが生じてしまい、当初決めていた予算を遥かにオーバーしてしまう可能性があるため注意が必要です。
注文住宅を建てる際にかかる費用は、次の4つに分けることができます。
- 土地購入費
- 本体工事費
- 付帯工事費
- 諸費用
それぞれの費用について見ていきましょう。
●土地購入費
その名の通り、土地を購入する際にかかる費用です。親が所有するものなど既に土地を持っている場合は別ですが、普通は土地購入から家づくりはスタートします。気をつけたいのが、土地の購入費用だけでなく、地盤が弱い場合は土地改良費用がかかりますし、諸費用も必要です。
●本体工事費
本体工事費とは、建物本体を建設する際にかかる費用のことです。主な費用には以下のようなものがあります。
- 基礎工事費
- 仮設工事費
- 木工事費
- 木製建具工事費
- 屋根工事費
- 金属工事費
- 金属製建具工事費
- 左官・吹きつけ工事費
- 内装工事費
- 塗装工事費
- 石・タイル工事費など
基礎工事や内装仕上げなど、さまざまな費用が含まれています。ただし、住宅会社によってどこまでの範囲が本体工事費に入るか異なるため、見積もりを出してもらったら必ず範囲を確認しましょう。
●付帯工事費
付帯工事費は、家を建てるときの外構設備などにかかる費用のことです。以下のように配管や地盤整備などの費用が該当します。
- 屋外ガス工事費
- 屋外給排水工事費
- 屋外電気工事費
- 運搬費など
●諸費用
諸費用には、次のような費用があります。
- 確認申請料
- 印紙代
- 地鎮祭・上棟式費用
- 近隣挨拶費用
- 抵当権設定登記費用
- 保証料
- 火災保険料
- 地震保険料
- 団体信用生命保険料
- 所有権保存登記費用
- 不動産取引税
- 引越し費用
- 仮住まいの賃貸料
- ゴミ処分費用
- インテリア・家具関係
- 照明器具など
基本的には、土地購入費や本体工事費、付帯工事費以外の費用が諸費用になります。
これらの費用が予算内に収まるのか事前に確認したうえで、家づくりを進めるようにしましょう。
諸費用の内容
本体工事費や土地購入費、付帯工事費といずれも金額が大きいため、諸費用も高額です。住宅会社によっても異なりますが、諸費用の相場は購入費用の3%~5%と言われています。仮に、購入する新築住宅の価格が4,000万円であれば、諸費用は120万円~200万円程度もかかります。
ちなみに、中古住宅になると仲介手数料がかかるため購入価格の5%~10%が諸費用の相場です。以下は、主な諸費用の項目・内容になります。
●印紙代
印紙代とは、契約をする際にかかる税金です(印紙税)。売買代金によって印紙代も変わります。仮に売買代金が1,000万円以上5,000万円以下の場合は、印紙代は20,000円です。
●融資手数料
融資手数料とは、住宅ローンを利用する際に発生する手数料のことです。金融機関によって金額は異なりますが、銀行であれば30,000円前後はかかります。
●抵当権設定登記費用
住宅ローンを利用する場合は、抵当権が設定されます。抵当権の設定は司法書士に依頼をするのが一般的です。登録免許税と合わせると15万円前後はかかります。
●保証料
住宅ローンを利用する際に金融機関に支払いをします。保証料とは、保証会社が保証人の代わりを担う際に必要となる費用のことです。
●火災保険料
住宅ローンを利用する場合は火災保険への加入が必須です。火災保険の金額は融資額以上で建物限度額までとなっています。
●設計料
注文住宅の場合は設計料がかかります。特に設計事務所に依頼する場合は設計料が高めです。
●地鎮祭・上棟式費
上棟式を省略する家も少なくありません。地鎮祭は着工前に神主にお祓いをしてもらう儀式で、7万円~10万円程度かかります。
前述の通り、他にもさまざまな諸費用がありますので、どのような費用があるのか確認しておきましょう。
オプション工事は予算内で
オプション工事とは、標準仕様以外の設備を採用する際にかかる工事のことです。業者によってどこまでが標準仕様でどこからがオプション仕様かは異なりますが、キッチンの大理石天板やディスポーザー、床暖房など、さまざまなものがあります。
標準仕様とオプション仕様を比べた場合、どうしてもオプション仕様の方が見た目も豪華なことが多いため、「せっかくマイホームを建てるのであれば」とたくさん採用してしまいがちです。
しかし、見た目が豪華だからといって使い勝手が良いとは限りません。また、勢いで追加したはいいものの、結局は使わないなんてこともあります。「オプションを追加しすぎて予算をオーバーしてしまった。。」ということがないように、「オプションを追加するにしても●●万円まで」と、予めオプション追加も考慮したうえで予算を決めるようにしましょう。
どうしても追加したいオプションについては、入居後数年してリフォームで設置することも可能です。
マイホームを建てたら確定申告を忘れない
マイホームを建てた翌年の2月~3月に確定申告を忘れないようにしましょう。特に親から資金援助がある場合は必ずしてください。
確定申告をすれば、不動産取得税の軽減措置や住宅ローン控除を受けることができ、高い節税効果が期待できます。
たとえば、住宅ローン控除は年末の住宅ローン残高の1%が10年間、最大400万円(各年最大40万円)の税額控除を受けることができます。これにより、所得税や住民税が大幅に控除されますので、家計を助けます。
このような制度をしっかりと活用することで負担を軽減できます。
確定申告は面倒ではありますが、しっかりと申告することでメリットを享受できます。
保険は大切
東日本大震災や宮城県沖地震、熊本地震、阪神淡路大震災、十勝沖地震、新潟県中越地震など、近年さまざまな大地震が発生しています。そのため、地震保険や火災保険などは当然のように入っていた方が良いものです。もし、これらの保険がなかったとしたら、災害で損害を受けた場合、ローンは残ったままで、修繕費用は自己負担です。仮に、家が倒壊・損壊したとしても、住宅ローンは返していかなければなりません。
日本政策金融公庫の融資を受ける場合は、特約火災保険への加入が義務づけられています。しかし、火災保険だけだと地震による火災の場合支払われる保険料は非常に少ないものです。火災保険に加えて地震保険に加入しておけば、建物は5,000万円や家財道具は1,000万円など、高額な保険料を受け取ることもできます。
ただし、火災保険料よりも地震保険料の方が高いため、負担は大きくなります。住宅ローンには団体信用生命保険も付いているため、医療保険や生命保険を見直して保険料を軽減することで、地震保険料で増える金額を少しでも相殺しましょう。
日本で生活する以上、地震などの災害被害にいつ遭うかわかりません。保険料は決して安くないコストですが、万が一の際に自分を助けるものになるため必要経費と考え、加入するようにしましょう。
贈与税
20代で若い人であれば自己資金がないケースも多いでしょう。そのため、マイホームを持つにあたり、両親や祖父母から援助があるケースも少なくないようです。
ただし、両親や祖父母からの援助となると嬉しい反面、「どれくらい贈与税がかかるのだろう」と税金面の負担も気になるものです。
しかし、現在は住宅取得資金贈与の特例があるため、非課税になる可能性があります。
特例制度適用の主な要件は以下のとおりです。
- 贈与時点で日本国内に住所がある
- 贈与を受けた年に20歳以上
- 贈与者から見て直系卑属
- 合計所得金額が2,000万円以下
- 2009年~2014年までの贈与税の申告で住宅取得等資金の非課税(旧非課税制度)の適用を受けていない
- 家の床面積が50㎡以上240㎡以下
- 床面積の2分の1以上が居住用など
非課税の限度額は300万円~3,000万円となっており、住宅を取得した際の消費税率や住宅の種類、契約を結んだ日によって非課税額が変わってきます。
「消費税10%の場合」
●契約日2019年4月1日~2020年3月31日
- 省エネ等基準に適合する住宅:3,000万円
- 上記以外の住宅:2,500万円
●契約日2020年4月1日~2021年3月31日
- 省エネ等基準に適合する住宅:1,500万円
- 上記以外の住宅:1,000万円
●契約日2021年4月1日~2021年12月31日
- 省エネ等基準に適合する住宅:1,200万円
- 上記以外の住宅:700万円
「消費税8%の場合」
●契約日2016年1月1日~2020年3月31日
- 省エネ等基準に適合する住宅:1,200万円
- 上記以外の住宅:700万円
●契約日2020年4月1日~2021年3月31日
- 省エネ等基準に適合する住宅:1,000万円
- 上記以外の住宅:500万円
●契約日2021年4月1日~2021年12月31日
- 省エネ等基準に適合する住宅:800万円
- 上記以外の住宅:300万円
省エネ等基準に適合する住宅とは、消費エネルギー効率が良い家や耐久性のある家、高齢者等の生活の便を向上させる家のことです。
住宅取得等資金贈与の特例を受けるためには、両親や祖父母から贈与を受けた年の翌年に確定申告をする必要があります。2月~3月の該当時期に確定申告ができなければ、住宅取得等資金贈与の特例を受けることができなくなってしまいますので注意してください。
また、他にも相続時精算課税制度などがあります。
30代以上でマイホームを購入する場合
20代など若いうちにマイホームを購入すれば、35年ものの住宅ローンでも定年前の現役のうちに完済することが可能です。退職金が出る場合は、住宅ローン返済に充てることなく老後資金として全額使うことができます。
30代以上になると現役時代に完済が難しくなる可能性があるため注意が必要です。たとえば、30歳で35年ローンを利用すると完済は65歳です。この場合、定年までギリギリ返済が続くか、退職金をローン返済に充てることになります。
35歳であれば70歳、40歳であれば75歳が完済年齢となり、退職金や老後資金をローン返済に充てざるを得なくなってしまいます。また、完済年齢が65歳~70歳などの金融機関であれば35年ローンを利用することもできません。返済期間が30年や25年など短くなってしまい、毎月の返済負担が非常に大きくなる可能性があります。住居費以外にも教育費や老後資金、日々の娯楽費や車の維持費など、生活をしていくうえでさまざまな費用がかかりますので、無理のない返済計画を立てる必要があります。
30代以上でマイホームを購入する場合は、しっかりと将来のライフプランを考え、綿密な資金計画を立てたうえで進めていくようにしてください。
所有している家を売って買う場合
「現在住んでいるマンションを売却して、広い一戸建てを買いたい」「一戸建てを売却して駅近で便利なマンションを購入したい」など、既に所有している物件を売って、新しく家を買いたいという人も多いことでしょう。
このような場合は、現在住んでいる家の売却が完了しない限り、新しい住まいづくりを進めていくのは難しいものです。しかし、すぐに売却できれば良いですが、なかなか買い手が見つからず、1年以上経っても売れ残ったままということも決して珍しいことではありません。
しかし、このような状況であればいつになったら新しい家を買えるかわかりません。売却が完了してから家を探そうと思っているうちに、新しい家を買うことよりも家を売却するのが目的になってしまい、計画がどんどん延びてしまいます。
仲介で売却が難しい場合は、業者買取なども検討してみるといいでしょう。買取であれば、1年以上売れ残ることがなく、査定後すぐに買い取ってもらえます。仲介での売却よりも買取金額や安くはなりますが、スピーディーに現金化できる点が魅力です。また、リフォーム等をする必要がありませんし、買い取った業者が個人を相手に売却するため瑕疵担保責任を問われることも回避できます。デメリットは相場よりも価格が安くなってしまうことですが、すぐに新しい家探しを始めることが可能です。
もし、業者買取を利用したくない場合は、売却価格を下げたり、リフォーム実施や販売プロモーションの見直しをしてみてください。買い手が見つからないのは、売却価格が高かったり、室内の仕様や見せ方に問題があるのかもしれません、
売却価格を下げることで、これまで興味を持たなかった人たちが興味を示すかもしれませんし、WEB情報の載せ方や内覧での訴求の仕方などによって、新たな需要を作れる可能性もあります。
現在住んでいる家を売って新しい家の購入を検討する場合、なかなか売却が思うように進まないときや、できるだけスピードを重視して現金化したい場合は買取や値下げ等を検討してみてください。
大工の体験談
不動産や建物に関する法律と並んで、一般の方と専門家で知識の差が多いのが、住宅の購入や建築に関する費用の面です。この知識差を利用して、不当な利益を得ようとする人間がいないとも限りません。そのため、費用の内訳や見積もりに関しては、最初の打ち合わせの時に十分すぎることはないというくらい、細かく聞くようにしてください。
私は聞かれた部分に関してはもちろん納得いただくまでご説明していますし、まず最初の見積もりも非常に細かく内訳を作っています。追加工事なのでどうしても最初より費用がかかってしまう場合も、きちんと内訳を細かく提示して、なぜ値上がりしてしまうのかを説明させていただくようにしています。
とにもかくにも、お客様のご質問に対する対応にきちんと応えられるかどうかで、その不動産会社や工務店、設計事務所などの質が問われると言っても過言ではないと思っています。お客様は是非納得いくまできちんと費用については確認してほしいものですし、そうすることで我々も安心して家の建築工事に取り組むことができます。
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